Jackie McLean - Lights Out! (Prestige PRLP 7035)
(January 27, 1956)
・パーソナル
- Jackie McLean (as)
- Donald Byrd (tp)
- Elmo Hope (p)
- Doug Watkins (b)
- Art Taylor (d)
・収録曲
- A Foggy Day
- Kerplunk
- Up
- Lorraine
- Inding
- Lights Out
・詳細
前作の初リーダー作「The New Tradition」よりも、ぐっとリーダーらしく演奏するマクリーン。リズムも少しレイドバックさせてみたり、よく歌っています。
楽器の鳴りも、くぐもったというか、「パカパカ」いわせた、いかにもマクリーンらしい音色です。
そして、このアルバムでは、幾つかの方向性が見え隠れしています。
ひとつは、「Kerplunk」で聴かれるように、泣きの音色で、淡々とつむいでいくような、名人芸のような曲へのアプローチです。リズムのアプローチがとてもすばらしい。フレーズを詰め込むのではなく、ビートに対して、1,3拍目に乗ったり、2,4拍目に乗ったり、4分音符の偶数、奇数にビートを揺らして、サックス自体で心地よいビート操作を行っています。「Kerplunk」はブルース進行ですが、「Confirmation」のコード進行を拝借して、いわゆるパーカーの「Blues
for Alice」のような「泣きのコード進行」をしているので、マクリーンのサウンドととても相性がいいです。「4, 5 And 6
」の「Confirmation」よりも、よりマクリーンの世界が濃厚です。使うフレーズは同じものが多いですが、表現しようとしている歌が、こちらのほうがうまく歌えているように感じます。
二つ目は、「Inding」のエンディングのような、bluenote時代を予感させるアレンジも入れているところです。このあたりは、もともと「The New Tradition」の「Little
Melonae」でも聴けましたが、よりえぐい感じになってきています。このあたりの「えぐさ」へアプローチする姿勢は、Charles Mingusあたりから影響を受けているのでしょうか?モンク的なえぐさとも少し違うようにも思います。
いずれにせよ、このあたりから、未来のネタは仕込んでいたように感じられます。ちなみに「A Foggy Day」は、この録音の三日後に、Charles Mingusの「Pithecanthropus Erectus」でも、演奏しています。ソロの部分は、マクリーンはどちらも同じように吹いていますが、「Pithecanthropus Erectus」の方は、バックがぐちゃぐちゃやっているなかで、淡々と紡いでいるので、雰囲気がまったく異なります。是非聞き比べてみてください。